アンプ界の王者、マーシャル。
歴史に刻まれた足跡をのぞき見。
はじめに
- 1962年マーシャル社設立
- 創業者はジム・マーシャル
- 現本拠地は英国バッキンガムシャー州ミルトン・キーンズ
マーシャルの歴史=ロックの歴史。
全モデル網羅が目標で、徐々に追記していく形になるかと思います。きっと知っている様で知らない事だらけ、私自身学ぶつもりで執筆していきます。ここでは広く浅く。深掘り記事も別途作成予定です。
Marshall Amps
JTM45
マーシャルアンプの創始者、ジム・マーシャルにより1962年に生み出された記念すべき初号機。Fender Bassmanを基にしており歪み量は控えめ。様々な派生モデルの源流。
“JTM45 2245”がリイシューモデルとして現行販売されています。
1959
1959 Super Lead 100。1965年に製造された名機。コントロール部がアクリルパネル仕様の初期モデルは「Plexi(プレキシ)」と呼ばれており、今なお非常に高い人気を誇ります。
The Whoのピート・タウンゼントの要望で生まれた100Wアンプ。リイシューモデルは既に生産終了。
1987
1959SLPと同じ外観を持つJTM系アンプ。1959の出力50Wモデルという位置づけ。“1987X”という名前でリイシューモデルが現行販売されています。耳馴染みのあるクランチサウンドは濃密で極上。
1962
1962 Bluesbreaker。12インチスピーカーを2発搭載したマーシャル初のコンボアンプ。エリック・クラプトンが車に積める仕様のアンプをジム・マーシャルに要望し誕生。30Wでトレモロを搭載。
Major
Marshall 200 Major。1967年に登場した200Wの出力を誇るアンプ。フロントのコントロール類が極めてシンプルな初期型の見た目から付いた愛称は「The PIG」。
使用者はリッチー・ブラックモアやジョン・フルシアンテなど他ビッグネームが並ぶ。
JMP
JMPは「Jim Marshall Products」の頭文字を取ったもの。シリーズとしては1967年から、販売代理店のRose-Morris社との契約が終了する1981年まで生産されました。
JMPシリーズのフラッグシップモデルは1975年発売の2203(100W)と2204(50W)でしょう。マーシャル初のマスターボリュームを搭載したモデルで“MV”とも言われます。
JCM800
1981年に登場したJCM800。JCM800シリーズとして、実は様々なモデル(型番)が存在しています。ロック史において最も重要なアンプと言って差し支えないほど、世界中のギタリストに愛された名機です。
JCM800シリーズは型番が混乱しやすいので簡単にまとめておきます。1959や1987は機能等はそのままJCMシリーズに統合した形。2205/2210は1983年に2チャンネル仕様で登場。
モデル | 出力 | チャンネル | Master Volume |
---|---|---|---|
1959 | 100W | 1 | なし |
1987 | 50W | 1 | なし |
2203 | 100W | 1 | あり |
2204 | 50W | 1 | あり |
2210 | 100W | 2 | あり |
2205 | 50W | 2 | あり |
Silver Jubilee
1987年に限定発売されたMarshall Silver Jubilee。マーシャル創立25周年及び、ジム・マーシャルのキャリア50周年記念モデル。銀色のスぺシャルな外観は高級感が漂い美しい。
JCM800を基に、よりゲイン量をアップし2チャンネル仕様に。2555が100W、2550が50W。スラッシュ、ジョン・フルシアンテが使用者として有名。リイシューモデルは“2555X”として現行販売中。
JCM900
1980年代後半、より激しい歪みが求められる時代に。JCM800をハイゲイン化する改造がメタル系ギタリストを中心に流行。この波によりボグナーやソルダーノといった優秀なアンプビルダーも誕生しました。
JCM900はハイゲインモデルとして1990年に販売開始。しかし翌1991年にPeavey5150、Mesa/Boogie Dual Rectifierという超ハイゲインアンプが登場したため、1993年にマーシャルもSL-Xというよりハイゲインなモデルを市場投入しています。
モデル | 型番 | 出力 | チャンネル | リバーブ |
---|---|---|---|---|
High Gain Dual Reverb | 4100 4500 | 100W 50W | 2 | あり |
High Gain Master Volume | 2100 2500 | 100W 50W | 1 | なし |
SL-X | 2100SL-X 2500SL-X | 100W 50W | 1 | なし |
6100
マーシャル創立30周年記念モデルとして1992年に発売。開発自体はJCM900と同時期に行われていた模様。青いトーレックスにゴールドのフェイスプレートという特別な外観。
モデルは3種類(6100/6100LE/6100LM)あり、クリーン、クランチ、リードの3チャンネル仕様は共通。ジョー・サトリアーニやゲイリー・ムーアも使用していた通称「青マーシャル」。
JCM2000
新世紀を迎えるにあたり1999年に登場。2チャンネル仕様のDSL(Dual Super Lead)と3チャンネル仕様のTSL(Triple Super Lead)の2機種があり、それぞれ100Wモデルと50Wモデルが存在。
JCM2000は2007年に販売終了となりましたが、今なおDSLシリーズとしてその系譜は受け継がれています。
JVM
2010年から登場したフラッグシップ機。クリーンからハイゲインサウンドまでこれまで以上に幅広い音色を備えています。チャンネル数や出力違いでラインナップは4機種あり、それぞれコンボタイプもあります。
JVM410HJSはジョー・サトリアーニのシグネイチャーモデルですが既に生産完了品。
モデル | 出力 | チャンネル |
---|---|---|
JVM410H | 100W | 4 |
JVM410HJS | 100W | 4 |
JVM210H | 100W | 2 |
JVM205H | 50W | 2 |
Vintage Modern
JVMとほぼ同時期にリリースされたモデル。シンプルなシングルチャンネル設計でパワー管にはKT66を装備。モデルラインナップは2466(100W)ヘッドと、2266(50W)ヘッド&コンボ。
Low/Highスイッチにてビンテージサウンドとモダンサウンドを切り替える事が可能。
Vintage Reissue Series
歴史に名を刻んできた伝説のアンプたちを復刻したものが現行品として販売されています。ビンテージリイシューシリーズとしてラインアップされているものは以下の通り。
- JTM45 2245
- 1962
- 1987X
- JCM800 2203
- JCM900 4100
- 2555X
- 1959SLP ※生産完了
Handwired Series
現在では入手が困難なレアなアンプをハンドワイヤードにてリイシュー。執筆時点ではほぼほぼ生産完了品となっており、このシリーズ自体も徐々に入手が難しくなっています。
- 1974X
- 2245THW ※生産完了
- 1962HW ※生産完了
- 1973X ※生産完了
- 1958X ※生産完了
- 2061X ※生産完了
Astoria
2015年に登場したマーシャルのハイエンドアンプシリーズ。Classic(緑)、Custom(赤)、Dual(青)の3モデル展開。それぞれヘッドとコンボがあります。フルチューブで出力は30W。
これまでにないカラフルな外観を採用し、モデルごとの個性もハッキリ違う。マーシャルの製品群の中でもオリジナリティの高いシリーズだと思います。残念ながら既に生産は終了。
CODE
2016年に登場したマーシャル初のフルデジタルアンプ。Softubeとの共同開発。歴代マーシャルの名機たち、そのサウンドが詰め込まれています。マーシャルがこの分野に参入するというのも…時代ですね。
ラインナップはコンボタイプが3種類(25W/50W/100W)で、ヘッドタイプが1種類(100W)となっています。ただし100Wモデルはコンボもヘッドも既に生産完了となっています。
Origin
2018年に登場。Originは“原点”とか“起源”という意味を持ちます。名前が示す通りクラシックなヴィンテージトーンが持ち味。Tiltコントロールやゲインブースト、FXループに出力切り替えといった機能を搭載。
現行機種は50Wのヘッド&コンボ、20Wのヘッド&コンボです。5Wコンボのみ生産を終えています。
DSL
一旦生産終了になったDSLシリーズでしたが、2018年に諸々アップデートして復活。出力の切り替えや、自宅録音が可能なエミュレートアウトを搭載。ラインナップもより充実しました。
- DSL1…ヘッド&コンボ
- DSL5C
- DSL20…ヘッド&コンボ
- DSL40C
- DSL100H
MG Gold Series
マーシャルのソリッドステートアンプシリーズ「MG」が装いを新たにリニューアル。自宅練習やバックステージ、小規模ギグなどプレイ環境を選ばない豊富なラインナップが魅力。100Wモデルのみ生産完了となっています。
- MG10
- MG15/MG15R/MG15FX
- MG30FX
- MG50FX
- MG101FX ※生産完了
- MG102FX ※生産完了
- MG100HFX ※生産完了
Studio Series
2019年に誕生したStudioシリーズ。往年の名機2機種(1959SLPとJCM800)をコンパクト化し、既に発売されていたMini Jubileeを新たにStudio Jubileeとして加えた小型真空管アンプシリーズ。
フルチューブ20W。各モデルともヘッドタイプとコンボタイプがあります。
元アンプ | ヘッド | コンボ |
---|---|---|
1959SLP | SV20H | SV20C |
JCM800 | SC20H | SC20C |
Silver Jubilee | 2525H | 2525C |